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2009年11月10日                               筆者 京橋玉次郎

  

  

  

  

米屋が始めたランチ

 現役のしかも小さな米屋が始めたランチどころ。店名も妙な細工しないところが印象深い。店を切り盛りしているのは3代目の鈴木さん(38)夫婦と母親、手伝いの女性。作業服に前掛けが良く似合う70歳になる先代は、「いま配達から帰ったよ」、といった風情で時々店をのぞく程度。息子にまかせきっている。

 八丁堀交差点に程近い路地の角地、「美味しいごはんあります」という1本ののぼりが目印。カウンター2席、狭いテーブル12人と至ってこじんまりしている。なんたって米屋の店先で食事が出来るようにしただけだから、造りに多くを期待するのは無理というもの。まずは質素な店内だ。

ご飯のうまさは天下一品

 店の名に恥じずご飯がうまい。この日は会津の新米だったが、輝くような艶で、丼の中で一粒一粒がスックと存在を主張している。炊き方も申し分なく、このご飯のうまさは、これまで数多く食したランチの中で三指、しかも上位に入る。こんなご飯なら浅漬けの白菜か何かだけでモリモリ食してみたい誘惑に駆られる。

 料理もそのご飯の味を引き立てることを主体に考えている。本日食したまぐろユッケなども、しっかりしたユッケの味付けながらご飯の食感と風味を損なわない。「ご飯お代わり」と叫びたくなったが、最近は勢いで食すと後からこたえるので我慢した。ちなみにお代わりは自由。お代わりをするのは、大方は若い男というのが相場だが、この店では若い女性がお代わりをする姿も珍しくない。

飯の味を生かす家庭的料理

 小さな地味な店なのに人気は高い。座るには、ピークを外すかある程度の待ちを覚悟するかどちらかだ。来るたびに行列の数が多くなっている。4年ほど前に開店した当初は、朝8時から持ち帰りのおにぎりなども売っていたが、だんだんランチの人気が浸透して忙しくなり、現在は11時からの営業となっている。

 ランチメニューは「日替わりご飯セット」と「焼き魚定食」が880円、「カリー」と「唐揚丼中華風」が780円とリーズナブル。「まぐろユッケ」は限定10食とあったが、この日は運良く残っていた。小ぶりのゴマ豆腐と煮物と漬物が少々ついてきた。いずれも家庭の惣菜風で主役はご飯。そんなランチを目指し、はるばるここ築地の新聞社から出かける“グルメ”もいるらしいが、誰かはわからない。

いつか町は変わる

 帰りがけ、裏口で所在なさそうにしている先代のおやじさんと目が合い、積み上げられた売り物の米袋の横でしばらく立ち話。バブルの前までは八丁堀界隈も居住する人が多く、一般家庭を相手に商売をしてきたが、「今は・・・」と浮かない表情。食堂はIT系の大企業にいた息子が継いだので「もう口は出さない」。

 確かに私が住む神奈川県の町でも、量販店の品揃えと価格に、市中の米屋は苦戦あるいは全滅している。こうしたときの流れは便利になった面もあるが寂しい面もある。ただ、この鈴木米店に限れば、そのおかげで旨い昼飯が食えるようになったとも言えるのだから、利用者としてはありがたい話ではある。

【お店データ】

鈴木米店

東京都中央区八丁堀3-20-8〈地図〉

営業:〔平日〕午前11時~午後4時 土日祝休み

<本日食したランチ>

まぐろユッケ定食 880円

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写真:ビューティフルピープル

2009年11月9日11時28分

ビューティフルピープル

ミントデザインズ

まとふ

ミハラヤスヒロ

リチウム・ファム

ナオキタキザワ

 新しい服で、ファッションの可能性を広げたい――。不況やファストファッションの隆盛の中でも、2010年春夏東京コレクションのランウエーからはデザイナーたちの熱意や創意工夫が伝わってくる。最先端の極薄繊維で新しいフォルムを追求したり、ある時代や場所の美を再解釈したり。これが今の東京リアルクローズのかたち。

 ビューティフルピープルのショーは、ジミ・ヘンドリックスのギターが奏でるアメリカ国歌で始まった。69年のウッドストックの“祭りの後”を、上質な服の着くずしで表現。デザイナーの熊切秀典は「くすんだ色の中にちょっとキラキラした感じを出して、カジュアルじゃない着くずしを見せたかった」。タイトなニットの袖をたくし上げ、クロップト丈のパンツにウエスタン調のサンダル。東京ストリートスタイルの代表的な要素「ドレスダウン」を、洗練された大人の街着に仕立て上げてみせた。

 ミントデザインズ(勝井北斗、八木奈央)のテーマは「キラキラ・ピカピカ・ヒラヒラ・フワフワ・スケスケ・サラサラ」。光沢があり、透ける軽い素材を組み合わせて流れるようなドレープやギャザーを作り、風にそよぐようなドレスを並べた。「自分たちなりの上品でぜいたくな気分を出した」と勝井。

 まとふ(堀畑裕之、関口真希子)は戦国時代の武将で茶人の古田織部とその茶器がテーマ。織部焼特有の緑青色をプリントしたワンピースや、きびそという絹素材を使った立体的なジャケットなどを発表した。堀畑は「茶室の心地よい緊張感と遊び心の融合を目指した」と語った。

 3年ぶりに東京で発表したミハラヤスヒロ(三原康裕)のレディースのテーマは「女神」。ロック歌手パティ・スミス、マドンナら「自由や解放を訴え、時代を作り上げた女性」への敬慕と賛美を優雅なスタイルで見せた。糸にポリエチレンを入れて形状記憶させた極薄のニットは、セクシーさの中にほのかな聖性も感じさせた。

 「東欧の女性の強さ、美しさにひかれる」というアキラ・ナカは、シンプルなテーラードジャケットや、ロックテイストの鋲(びょう)使いなど、マニッシュな作りを採り入れることで、逆に女性的で柔らかな美を際だたせた。レザーやデニムも多用した。

 リチウム・ファム(平松剛)はボンデージをテーマにメンズと対になった服を並べた。光るショールカラーのウエストを絞った白いジャケットでエッジを利かせ、ジョパーズ風のデニムで緩め、足元にボンデージテイストのサンダル。束縛と解放が同居するセンスが光った。平松は「こういう時代の中で解放されたい。だから逆のことがやりたかった」という。

 ナオキタキザワ(滝沢直己)は東大総合研究博物館の西野嘉章教授と協業し植物などの古い顕微鏡写真をモチーフに、極薄のポリエステルに細かなプリーツ加工を施したドレスを披露。モードとサイエンスが融合した表現領域をさらに広げた。滝沢は「100年前の学術資料をデザイン資源に、最新の合繊で立体化し、着て初めてテキスタイルも完成するという考えで作った。もの作りの視点を変える時ではないか」と語る。(菅野俊秀、小川雪)

◆写真はナオキタキザワをのぞき大原広和氏撮影

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2009年11月6日

家にそれぞれの家族の顔がにじみ出ます

  

  

いろんな表情のふくよかな笑顔の家々

 ちょっと目を閉じて、昔の生家を思い出してみます。窓は雨戸と障子で、サッシはおろかガラス戸などなく、そのすき間からスースーと風が入ってきたものです。寒い朝、家族は朝起きると火鉢や炉端に集まり暖をとりました。食事もおやつの時間もその炉に集まり、みそ汁をすすり、アユや五平餅などの串を焼いて食べました。

 なかでも、炉の灰の中に埋めたサツマイモが最高のおやつでした。その焼き芋の大小をめぐり、兄弟で大きいの、小さいのとけんかをしたものです。夜は、そこにつるされた裸電球一つに家族が集まり、ラジオを聴き、本を読み、縫い物をしていました。宿題は明るいうちに済ませておかないと、夜はとても暗くてできませんでした。「蛍雪時代」とはよく言ったものです。

 入浴時間ともなると、離れの五右衛門風呂のおけに井戸から水を運び、涙を流しながら薪を燃やして、カンテラの明かりの下で入りました。もちろんトイレはお決まりのように「廊下の端の突き当たり」で、その下には肥えだめのカメがあり、ポットン……。くみ取り口から漏れる明かりと北風の中で目を閉じて、歯を食いしばって用を足していました。

 なにも大昔の話をしているのではありません。ほんの50年ほど前、この私が育った家の現実の話です。よほど貧しい家に育ったのだなと思われそうですが、さにあらず。自分で言うのもはばかりますが、わが家は地元ではそこそこ(?)の家だったはずです。なぜなら周辺で初めてテレビが置かれたのもわが家で、近所や学校の友達を連れて来て整列させ、相撲などを見せたのを鮮明に覚えているからです。子ども心に、「これはわが家だ」といういかめしい家の“顔”があり風格もあったように思われます。

 今、ちょうど定年となった人たち以上の方々も、こうした風格を持つ家に住み、おおむね私と同じよう暮らしだったでしょう。それでも誰も不便で貧しいとは思わなかったはずです。その崇高な家の意味や体験について、だれも口に出す人は多くありません。私はそこが間違っていると思います。

 ポットン便所でどうしたら「お釣り」と呼ばれるはね返しで尻を汚さないで済むのか。あるいは、今でこそ危険な練炭や炭団(たどん)や炭を使ったこたつの安全な使い方などさまざまな知恵がありました。屋根と柱だけの「傘の家」は、夏は開放して蚊帳の中で寝ます。あの畳と蚊帳の独特なにおいは、とても懐かしいものです。

 しかし、そんな時代に育った人に限って、そのことはおくびにも出さず、家づくりやマンション選びとなると、モダンな外観や設備がお好みなのだから不思議なものです。冷暖房の効いた高気密・高断熱の壁の家、いや「箱の家」となり、ハイテクの電化住宅を求めるようになりました。

 寒くて不便な家に対する反動だと思うのですが、すぐに家の中をオール電化にし、気密サッシに入れ替え、必要以上の省エネルギー対策を取ります。あの火鉢や炉端のだんらんはなくなり、兄弟はそれぞれの勉強机のある子ども部屋に分散され、やがて出ていき、家族はそこにいなくなります……。気づくと高気密・高断熱の広い部屋に、すでに夫もいない老妻が一人暮らすような家があちこちにひっそりとたたずんでいます。この時点で家族の顔が家から消え、そして夫婦の顔までもが消えようとしています。

 皮肉にもその高気密・高断熱のハイテクな家で、子育てが終わり、老いた親たちは暖房も冷房も使わず、小さなヒーターと扇風機で、ひっそりエコな暮らしをしています。

 都市は無秩序に膨張し、中心部分が老化し、ゆがんだ“しわだらけの顔”になっています。幸いなことに最近、その都心に若者たちが帰って来て、明るい“笑顔の家”が建ち始め、隣の老家もちょっとうれしそうです。

 次回はいよいよこのコラムも第300回。「これが“いい家いい家族の条件です」というテーマでお話しします。

 来る11月14日(土)14時より、東京・銀座8丁目の資生堂ビル9階の資生堂ホールにてシニア学会銀座サロン第3回講座で「60歳からの夫婦の家」をテーマにお話しする予定です。(03・5778・4728)までお問い合わせください。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

天野さんへのご質問、ご意見は天野さんのホームページから

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2009年10月26日                                    日刊スポーツ記者・土谷美樹

組替えを経験し、ケガも乗り越え一回りも二回りもたくましくなった凰稀かなめ(プロフィール)

 星組の準トップスター・凰稀かなめが、ミュージカル「再会」(11月5日まで全国ツアー)でコメディーに挑戦中だ。トップスター柚希礼音、彩海早矢とのアップテンポなセリフのやりとりは絶妙で、客席も大ウケだ。雪組から異動してきてまだ半年。その間にはケガも乗り越えた。今やすっかり組に溶け込み、トップコンビ柚希&夢咲ねねとの華やかなスリーショットは見る者のため息を誘う。組替え後初の全国ツアーへの意気込みと、激動の半年を振り返ってもらった。

 アップテンポなセリフ、絶妙の間。最後のどんでん返しも加わって、コメディータッチのミュージカルに連日、客席も大いに沸いている。

 「再会」は99年、専科スター轟悠が雪組トップスター時代に初演され、02年に再演。今回が3度目の上演となる人気作で、何よりも軽妙なセリフのやりとりが魅力だ。「チエさん(柚希)と(同期の)彩海と私の3人が親友役なんですけど、学年も近いし、普段のコミュニケーションの雰囲気が舞台に出れば、と思っています」。

 凰稀にとっては今回が2度目の全国ツアー。本拠地や東京公演など“タカラヅカ慣れ”しているファンとは違うリアクションが刺激になるらしく「お客さんの反応がホントにおもしろい。客席に降りたりするとウワッーってなってくれるし。私たちにとっても普段味わえない感覚があって楽しい」と笑った。

 今年はいろんな事があった。雪組から組替えでやってきたのはわずか半年前。しかも、一足飛びに2番手スターとして迎え入れられた。その間、左足小指を骨折。大劇場公演への「休演」も頭をよぎるなど波瀾(はらん)万丈の09年だった。

 「もちろん、10年間いた雪組を離れるのは寂しかったけれど、実は自分の中で色々悩んでいた時期でもあったんです。自分自身“何かを変えなきゃ”ってもがいていたというのか“もっとこうしたいのに何でできないんだろう?”“何かを壊せたらもっと良くなるんじゃないか”って」

 そこには下級生のころから注目を浴びてきた優等生ゆえの苦悩が見え隠れする。「いつも“うまくやらなきゃ”ってどこかで思っていたかも知れません。他の人の目が気になって、そういう自分がイヤになっていた。でも、星組にきたら“いいじゃん、けいこで失敗しても”って思えるようになってきた」。組替えを経験したことで、凰稀は自分の中の見えない『何か』を打ち破っていた。

 しかも、星組最初の大劇場公演を前に左足小指を骨折した。初日までわずか3週間。誰もが「休演やむなし」と思っていた。新トップ柚希のお披露目公演、自分にとっても“星組デビュー”の大事な舞台。どうしても出たかった。凰稀は周囲も驚くほど入念なリハビリとケタ外れの精神力で初日に間に合わせたのだ。

 「自分のしんどさより今となったら“折れてようが何しようが、何でもできるんだな”って思いました(笑)」。舞台が終わるころには何倍もの逞しさを備えていた。

 173センチの長身に抜群のスタイル。172センチの柚希、164センチの夢咲との3ショットは華やかで迫力満点だ。「チエさんは1つ上のあこがれの上級生。すごい好きだったし、今コンビを組んでいるのが不思議なくらい。チエさんは太陽みたいなワイルドさで、私は真逆。あえて言うなら月かな? でもその真逆さが舞台にいい風に出せればいいですね」。そう言ってクールに笑う表情が印象的だ。「太陽と月」。新しい星組には無限の可能性が広がっている。

 ◆「再会」 舞台は現代のモナコ。一流ホテルの御曹司でありながら、ジェラール(柚希)は父親の後継ぎを嫌い、ニューヨークで売れない小説を書きながら実家からの仕送りで自由奔放に暮らしていた。ある日、モナコの父から手紙が来た。「モナコに戻り、跡継ぎとして帝王学を学び、しかるべき女性と結婚するなら財産と社長の地位は保証する。そうでなければ今後は仕送りもしない」。
 これに慌てたのはジェラール本人よりも友人の編集者マーク(凰稀)と演劇プロデューサーのスティーブ(彩海早矢)だ。2人はジェラールにお金を貸しており「何が何でも結婚して、社長になってもらわねば困る」と、嫌がるジェラールを無理やりモナコに連れて行く。
 父親のクードレイ社長(英真なおき)が出した条件は「図書館に勤めるサンドリーヌを誘惑して偽りの恋をし、そして彼女を捨てろ」という一風変わったもの。しかもその“偽りの恋”を自伝小説にしろというのだ。プレーボーイでならしたジェラールは自信満々に取りかかるのだが…。舞台はショー「ソウル・オブ・シバ!!」と2本立て。

 ☆凰稀(おうき)かなめ 9月4日生まれ、神奈川県出身。順心女子学園中を経て00年「源氏物語 あさきゆめみし」で初舞台。雪組に配属となり05年7月「霧のミラノ」で新人公演初主役。翌年7月「Young Bloods!!」でバウホール公演初主役。昨年5月、米映画「俺たちに明日はない」をもとにした2度目のバウ主演作「凍てついた明日」で、孤独で犯罪に手を汚していくクライドを好演し話題に。今年4月14日付で星組に組替えとなった。身長173センチ。愛称「てる」。

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2009年11月2日                                       ソーシャルブックマーク

ソマルタ

アグリ・サギモリ

ネ・ネット ※写真をクリックすると拡大します

 ドレス33 ※写真をクリックすると拡大します

 ガッツダイナマイトキャバレーズ ※写真をクリックすると拡大します

 ユキ・トリイ ※写真をクリックすると拡大します

 2010春夏コレクションの最後を飾る「第9回東京発 日本ファッション・ウィーク」(JFW)が19日から1週間、東京ミッドタウンを主会場に開かれた。リアルクローズを意識した作品が多かったが、自分の興味や関心に立ち戻り、そこから創作していこうというデザイナーたちの姿勢も目に付いた。2回に分けて報告する。

 開幕直前、パリ・コレ期間中に開店したユニクロのパリ・オペラ店には行列ができる一方、ヨウジヤマモトは民事再生法の適用を申請。ファッション界の現状を象徴するような出来事が話題になる中で、中核イベントの東京コレクションには約50ブランドが参加し、新作を披露した。

 ソマルタ(廣川玉枝)は、身体の骨格、甲冑(かっちゅう)など即物的なイメージを広げてきたここ数シーズンから打って変わり、廣川が愛読するベルレーヌの詩「汽車の窓から」を題材にしたロマンチックなコレクションを見せた。

 会場には車窓の風景の映像が映し出され、旅立ちから夕暮れが迫るにつれて、服も白から次第に色づく。淡いピンクの花柄ドレスは、すそに白い透け感のある素材を重ねて気品を保ち、花びらをつけた大きな帽子と首飾りで優雅な甘さをふりかけた。廣川は「3年間、身体性について考えてやってきたことが一段落し、現実と空想が入り交じったような世界観を表現してみたかった」という。

 アグリ・サギモリ(鷺森アグリ)は、中学生の頃から趣味で撮りためていたという古びたドアの写真を発想源にした。「より素直に力強く自分を表せた」と鷺森。朽ちかけた扉や壁の質感は、かすれたジャカードなどで表現した。鈍色(にびいろ)に染めたメンズ調のトレンチコートと短いパンツは、きゃしゃで若々しいが、ダークな感覚の危うさも漂わせる。時を経た物の美しさを新技術で映しだすところに、冴(さ)えを感じさせる。

 いつもはコワカワイイ凝った服を見せていたネ・ネット(高島一精)はJFW期間前に発表。スクール調ジャケットやTシャツなどそっけないほどシンプルでカジュアルな服を組み合わせで新しく見せた。顧客も招き、その場で作品を陳列して他の色や価格も明示した。「わかりやすく身近な日常性を楽しむことが今なのでは」と高島は話した。

 日常性とは対極のはじけた服を見せたのはドレス33(岩谷俊和)。ピカソのキュービスムから想を得て、「何が正しく、何が美しいのか、素材も形もいろんな角度から考えたかった」という。ビニールのような質感のポリエステル素材などを使い、いろんなものがまじわる東京のミックス感もちりばめた。

 ガッツダイナマイトキャバレーズ(キャバレー・アキ、ジャッカル・クズ)のテーマは「ディスコ」。プリント柄のワンピースなどノリのいい服で表現してみせた。「ファッションって、華やかで楽しくないとだめでしょう」とアキ。フィナーレではデザイナー2人もランウエーで踊った。

 ベテラン勢の完成度の高さも印象に残った。ジュン・アシダ(芦田淳)の機能と優雅さを備えたパンツスタイル。ユキ・トリイ(鳥居ユキ)は、ミリタリー調などのトレンドを、軽やかに洗練させて群を抜いた。

(編集委員・高橋牧子、菅野俊秀 写真は大原広和氏、「ネ・ネット」のみ安藤由華撮影)

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写真:マレーネ・ディートリッヒのブレスレット(1937年頃):マレーネ・ディートリッヒのブレスレット(1937年頃)

2009年10月30日18時58分

マレーネ・ディートリッヒのブレスレット(1937年頃)

トンボの妖精のクリップ(1940年代)

枝に宿る雫をイメージした展示風景

ジップネックレス(1951年)。ブレスレットとしても使用可能

バラの花を描いたヴァニティケース(1926年)

グレース・ケリー王妃が結婚式で着用したティアラ(1976年)

日本の庭園を描いたペンダントクリップ(1924年)

 グレース王妃やマリア・カラスらを魅了したきらめきが一同に――。フランスの高級宝飾店ヴァンクリーフ&アーペル。その100年余の歴史を振り返る展覧会が31日から、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される。留め金を見せずに宝石を支える技術「ミステリー・セッティング」や、代名詞とも言える草花や蝶など自然をモチーフにした歴史的作品など、約250点を展示する。著名デザイナーが手がけるファンタジックな展示空間を、同社のアーカイブ責任者と歩いた。(アサヒ・コム編集部 柏木友紀)

 展覧会のコンセプトは、「ザ・スプリット・オブ・ビューティー」、つまり美の神髄。会場は「自然」「エレガンス」「冒険」そして「インカネーション(美の化身)」という4つの「スピリット(精神)」に分かれ、独自の舞台空間を作り出している。

 「自然のスピリット」に足を踏み込むと、森に迷い込んだよう。にょきにょき伸びた枝には、雫(しずく)をイメージするバブル(シャボン玉)型のショーケースが宿り、自然をモチーフにしたジュエリーが並ぶ。同社のパリ本店ほか、世界中の一流ホテルやレストランなどの内装を手がけるパトリック・ジュアンによる設計だ。

 ルビーの花びらとダイヤモンドの葉がまばゆい輝きを放つブーケのクリップ(ブローチ)は1937年製。ミステリーセッティングの手法が用いられ、今展示では間近、かつ裏からもその精巧な仕事を眺められる。

 滑らかで自然な曲面を表現するためには、色合いや透明度の近い石を選定しなければならない。そして多くを捨ててカットし、ネット状に張り巡らせた留め具にスライドさせるように石をはめ込む。「一つ入れるのに約5時間、この技術を持つ職人は3人しかいないのです」と、歴史遺産部門の責任者、カトリーヌ・カリユーさんはいう。

 ルビーにエメラルド、ダイヤモンドをちりばめた「トンボの妖精」は、フワフワと空間を漂っているかのような神秘的な作品。今展覧会のラッキーモチーフでもある。カリユーさんは「作品にみな動きがあるのがお分かりになるでしょう。真のジュエリーとは内部に魂を宿らせているのです」と説明する。

 「エレガンス」の部屋では、空間に浮かぶ巨大な葉の上にショーケースが置かれていた。レースやシルクといった生地の質感を細工で表現した作品や、リボンやジッパーをかたどったネックレスなどが並ぶ。

 女性の社会進出が進んだ1930年代には、口紅やアクセサリー、タバコといった小物を入れ込むバニティケースも多く製作された。時計がひそかに組み込まれているのは、「女性が外出先で化粧する必要があるなど社会活動が盛んになる一方、公の場で時計を見るのはまだ非礼なこととされていたため」という。

 「冒険」の空間には、アフリカやインド、日本といった異国の地のデザインをヒントにした作品がずらり。仏舎利や松など日本庭園を描いたクリップや、エジプトの壁画やオダリスクをモチーフにしたブレスレットも。多くは1920年代の作品だ。1922年に王家の谷からツタンカーメンの墓が発見され、一気に冒険熱が高まった時代を反映しているという。

 最後の「インカネーション」の空間もまたゴージャス。同社の宝石をこよなく愛した代表的な女性たちを紹介している。モナコ王妃となったグレース・ケリーが結婚式で付けたティアラ(王冠)や、ジャックリーン・ケネディの炎のクリップ、マリア・カラスの花形クリップ……。映像での案内役は自身も愛用者であるカトリーヌ・ドヌーブ。マレーネ・ディートリッヒがあつらえたブレスレットは、ヒチコック監督の映画「舞台恐怖症」の中で着用。写真も多く残されている。

 現代でも、04年カンヌ映画祭でチャン・ツィーの胸元を飾ったネックレス、07年アカデミー賞でリブ・タイラーが身につけたネックレスにキャメロン・ディアスが付けたブレスレットなど、ハリウッド女優らの輝かしい活躍と一体となったピースが並ぶ。

 驚くのは、歴史あるヴィンテージ品と、現代の作品が見事に調和していること。アンサンブルになるネックレスとクリップ、イヤリングなども、よく見ると制作年代やデザイナーの異なるものもあるが、まるで一対のように感じられる。

 「真の美しさとは何か。この根底に流れる精神を、永続性を持って現代まで受け継いで来たことが、我々の誇りなのです」。今展示品の約3割は個人のコレクターから借用したものだが、いつの時代でも、どこにあっても、ヴァンクリーフ&アーペルと分かるデザインとクオリティーが、その神髄なのだという。

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写真:トム・ブラウン=大原広和氏撮影

2009年10月26日10時44分

トム・ブラウン=大原広和氏撮影

3.1フィリップ・リム=大原広和氏撮影

Nハリウッド

ジョン・ローレンス・サリバン=安藤由華撮影

ヨシオ・クボ=安藤由華撮影

ホワイト・マウンテニアリング

ラッド・ミュージシャン

 10年春夏のメンズコレクションは、ミラノ、パリに続き、先月はニューヨークで、レディースと同時期に発表され、今月は東京コレクションが開催中だ。NYや東京では、長く重い紳士服の伝統を背負った欧州勢とは違った、スポーティーで軽やか、ポップでカジュアルな服が多く出ている。“新大陸”と“極東”が、男の服の新しい発信源となるのか。

    ◇

 ニューヨークで注目の2ブランドは、ポップとノスタルジーの両極に割れた。

 まずはトム・ブラウン。ショート丈のパンツやジャケットはお約束通りだが、デザインはいたってポップな雰囲気。水玉とトリコロールを基調に、スポーティーなラインを並べた。

 雨音の調べと共に現れたのは、水玉部分が所々切り取られた穴あきコート。インナーが顔を出し、立体的で涼しげな風情を醸し出す。唇に白い口紅でしるしたワンポイントも、遊び心を盛り上げる。トリコロールのシリーズはウエアラブルなピースをそろえつつ、コーディネートで快活さを表現した。例えば極端に短いテニス風ショーツにジャケットとタイをオン。

 3・1フィリップ・リムは、今季初めてメンズ単独でプレゼンテーションを開催した。ピアノの生演奏が流れ、小部屋に分かれた会場はノスタルジックでリラックスしたムードが漂う。

 薄手ニットやシンプルなシャツに、ハーフ丈やすそをしぼった細身のパンツの合わせが中心。ベージュやグレー、あせた紺と色合いもデザインも決して奇抜ではないが、柔らかで落ち着いた上質な日々を約束するかのよう。リムは「男性の壊れやすくて人間性あふれる面を表現したつもり。ビートニクが活動した50、60年代のアメリカを念頭に置きました」。

    ◇

 東京メンズのトップを切ったNハリウッド(尾花大輔)のショーは、火花が飛び散る映像で始まった。

 尾花がデトロイトの自動車スクラップ工場を訪れて着想したテーマは「オート・ジャンクション」。作業着をアレンジした色鮮やかな上着に、足元は厚底のワークブーツ。武骨さを生かしつつ、スタイリッシュな街着に仕立てた。

 ジョン・ローレンス・サリバン(柳川荒士)は、ミリタリーやロシアのニュアンスをにじませた。肩章とベルトが付いた上着にカラフルな細身のパンツを合わせ、金のチェーンでハードさをプラス。他にもメッシュや光沢のある素材も使って多彩に表現した。柳川は「自分が思い描くメンズとは常に力強くあること。その根本は変わらない」。

 ヨシオ・クボ(久保嘉男)もミリタリーを意識した服。テーマは「インテリジェント・ギャングスター」。架空の街に住む知的なはぐれ者たちを「勝手に想像して表現した」と久保。服に描かれた地図は実はジャカード織。細部までこだわった格好良さを追求した。

 今回、初のランウエーショーをしたホワイト・マウンテニアリング(相澤陽介)が見せたのは、ブランドのコンセプトを具体化した都会で着るアウトドアウエア。裏地やポケットなどにポイントを作ったカラフルなパーカ類が軽快な印象を残した。

 ラッド・ミュージシャン(黒田雄一)のテーマは「All Songs Digitally Remastered」。デジタルリマスターされた70年代ロックの名曲を改めて聴いた黒田がその技術に感動し、当時の雰囲気を現代のハイテク素材で表現。雨が降る演出の中、撥水(はっすい)加工したパーカにギターケースを背負ったモデルが列を成す様は迫力があった。

 ワークウエア、ミリタリー、アウトドア、そしてロックと来れば、これまでも渉猟されてきたテーマ。だが、東京の気鋭のデザイナーたちのフィルターを通して、それぞれ新しいメンズに仕上がっている。

(ニューヨーク=柏木友紀、東京=菅野俊秀)

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2009年10月27日                                 筆者 京橋玉次郎

  

  

  

  

一番人気はハンバーグ

 ランチは7~8種類あるが一律1050円。中で一番人気はハンバーグ。やや硬めに作られており、しっかり焼けている。覆いかぶさるようにとろりと溶けたチーズがかかり、さらにその上からたっぷりのデミグラスソースがかかっている。やや濃い目の味付けでご飯に良くあう、いかにもホームメイドの味わい。

 ハンバーグは概してウエルダン気味に焼くそうだが、この日の場合はやや焼け過ぎかな、という気がしないでもない。ご飯のおこげはそれなりにうまいが、ハンバーグのおこげというのはどうしたものか。ま、これも家庭料理の延長と思えばご愛嬌ではある。添えてあったジャガイモの4半分がホクホクしていてうまかった。サラダに小ぶりなトマトが1個使ってあった。濃厚に甘く日向で育った昔のトマトの味を思い出させるものだった。素材はなかなか良いものを使用しているようだ。

じじばばヌーボー

 その素材だが、ジジのふるさとからは米沢牛などを、ババの実家である山梨からは野菜や馬肉を仕入れているという。ちょっと変わったところでは、ババの実家のブドウ畑でとれたぶどうを、親戚の小さな醸造所で醸造したワインを出している。名づけて「じじばばヌーボー」2900円で、酸化防止剤などを使っていないのが自慢だという。ランチしか行ったことがないので、ワインの味はいまだ知らない。

 ランチのメニューはハンバーグのほか、カレーライス、ハヤシライス、地鶏の南蛮フライ、ドリア、ポテト他がある。いずれもサラダと飲み物がつく。ちょっとゆっくりランチをとるには手ごろな値段だ。席は全部で50。夜はコース料理でパーティーなども引き受ける。

変わった名前

 それにしてもジジ&ババとは意表をつく変わったネーミングだ。一度聞けば忘れ難い。しかし、意表をつくということは、間違うと外してしまう際どさでもある。こうした変わったネーミングが成功するかどうかは、一度店を訪れた人が感ずる印象次第だろう。そうした意味ではこの店の優しい雰囲気は悪くなく、失敗ではなさそうだ。

 で、ジジ&ババだが、もちろんおじいさんとおばあさんという意味もあるが、春蘭にジジババという別称がある。男性と女性のそれぞれものに似た形状を、一つの花に備えている珍しい形の花なのでそう呼ばれるらしい。私は見たこともないし、この店の名前がどちらを根拠にしているかも知らない。

女性客が多い

 店は、ジジと自称する店主・駒澤さん(60)を中心に家族でやっており、キッチンには店主と息子が立つ。フロアで立ち働く女性たちも家庭の台所を切り盛りするお母さんのような雰囲気。昼は若い女性客が多い。以前は東京駅に程近い八重洲の外堀通りにあったが、8月にここ日本橋に引っ越した。以前の地下1階の雑然とした感じから、大分すっきりした店内になった。とはいえ、取り澄ました感じではなく、気の休まる雰囲気は変わっていない。

【お店データ】

ジジ&ババ

東京都中央区日本橋2-2-7 2F〈地図〉 03-3274-1797

営業:〔平日〕午前11時~午後2時30分、午後5時~午後12時〔土曜〕午前11時~午後3時、午後5時~午後10時、日祝休み

<本日食したランチ>

ハンバーグ 1050円

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2009年10月23日                                    中本千晶

全国ツアー公演「再会」「ソウル・オブ・シバ」より=(C)宝塚歌劇団

全国ツアー公演「再会」「ソウル・オブ・シバ」より=(C)宝塚歌劇団

全国ツアー公演「再会」「ソウル・オブ・シバ」より=(C)宝塚歌劇団

 タカラヅカというところは新作主義で、再演されるのは「ベルばら」など数が限られている。しかも、そのほとんどが「悲劇」である。ところが、現在星組が全国ツアーで上演中の「再会」は、珍しく「コメディー」の再演物だ。

 スター主義のタカラヅカでは、「笑い」もまた、往々にして演じる役者のキャラに負うところが大きい。だが、1999年、2002年に続く3度目の再演となるこの作品の場合、「お約束」の場面が目白押しである。その場面が近づくと、リピーターの観客は「来た来た来た~」と準備OK、わかっているのに笑ってしまう。それは、お笑いタレントの定番芸をみて笑うときの感覚に近いかもしれない。

 物語の舞台はヨーロッパの小国モナコ。主人公のジェラール(柚希礼音)は一流ホテルの御曹司でありながら小説家を志し、アメリカで遊び暮らしている。業を煮やした父親が、ジェラールが跡継ぎとして相応しいかどうかのテストをすると言い出す。テストに合格しなければ全財産は弟に譲るというのだ。

 そのテストは、「指定した女性を口説いて、一夜をともにし、捨てろ。そして、そのいきさつを小説に書いて欲しい」というものだった。お安い御用と二つ返事のジェラール。

 ところが、その女性というのが何と、モジャモジャの三つ編み頭に黒ぶちの牛乳瓶の底のようなメガネ、手には「腕ぬき」、がに股で直角歩行をする堅物な図書館職員、サンドリーヌ(夢咲ねね)だった! これには、さすがのジェラールもたじたじ…。

 普段は清く正しく美しいヒロインしか演じないタカラヅカのトップ娘役が、ここまで型破りにコミカルな芝居をやってくれるとは! このサンドリーヌとジェラールが図書館で出会う場面が、この作品一番の見どころといってよい。

 そして、ジェラールの「テスト」をサポートする男友だちが、出版社編集者のマークと演劇プロデューサーのスティーヴ。この悪友(?)2人組を今回の再演では、凰稀かなめと彩海早矢の同期コンビがチームワーク良く見せる。

 こうして、父親の冗談のようなたくらみからスタートした恋のさやあてが、やがて本物の恋に変わっていき、プレイボーイを気取っていたジェラールも…。そして、ラストシーンでは思いがけないどんでん返しが待っている。

 主人公ジェラールを演じる柚希礼音は、初舞台が初演の「再会」だったそう。これまでは重厚なコスチューム物が多かったという柚希が、彼女自身にとっても思い出深いこの作品で、関西人のDNAを呼び覚まし、コメディエンヌの一面をとこまで発揮してくれるか。

 思えばこの作品、生まれ自体も「ひょうたんから駒」だった。1999年の初演当時は、同時に上演されたのが、ショーの名作中の名作「ノバ・ボサ・ノバ」。このため、当初は「ノバ・ボサ・ノバ」のほうがもっぱら注目を集めていたのだ。

 「再会」は言葉は悪いが「ついで」というか何というか、かすんだ存在だった。ところが、初日の幕が開いたとたんに「意外と面白い!」と評判に。それにしても、こんなに何度も再演されるような「コメディーの定番」に育つとは…思ってもみなかったことだった。

 やはり「笑い」が生まれるには、どこか余裕というか、ふっと肩の力の抜けたところが必要なのかもしれない。この作品をみていると、そんなことも考えさせられるのである。

 同時上演のショー「ソウル・オブ・シバ」も2005年の初演、韓国公演、全国ツアーに続く4度目の再演だ。ダンスを志す若者の成長と栄光、そして挫折を描いたストーリー仕立ての一作で、宝塚きってのダンサー柚希の本領発揮といったところ。

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写真:まとふ(matohu):まとふ(matohu)

2009年10月23日19時32分

まとふ(matohu)

アライサラ(araisara)

ユキ・トリイ(YUKI TORII INTERNATIONAL)

 禅や「わびさび」といった日本の美意識に魅せられ、来日した海外勢にはたまらなかったのではないか。東京コレクション4日目の22日、日本の伝統美を現代の衣服に採り入れようとするショーが続いた。

 「まとふ」が見せたのは茶室に見立てたフロアで、焼き物の織部をモチーフにした作品の数々。鳥がさえずり、水禽窟(すいきんくつ)に滴る水音が響く中、しばし茶の湯の世界に引き込まれた。

 5年前のデビュー時から慶長期(安土桃山~江戸初期)の美をテーマにコレクションを展開してきた「まとふ」。この時期の代表的陶器である織部は、千利休によるそれまでのストイックでミニマムなスタイルから脱し、遊び心あふれる斬新なものだった。

 今回のピースは陶器の釉薬(ゆうやく)をイメージする緑色が中心カラー。銅が自然にさびてできる緑青から染料を抽出し、竹色の優しいグリーンで幾何学模様をプリントしたドレスや、スカートに仕上げた。多くはアシンメトリーになっており、織部の茶わんのゆがみを表現した。これまでになくスポーティーでフレッシュな印象だ。

 「心地よい緊張感の中で亭主と客が共に楽しむ『茶の湯』のように、見ている人も着ている人も明るく楽しくなるような遊び心を表現したかった」と、デザイナーの堀畑裕之と関口真希子。

 一方、今回が2回目となるアライサラも、「響」をテーマに京友禅やぼかしの技法を用いた生地を現代風にアレンジした。

 絽(ろ)や紗(しゃ)の反物を洋服の幅に特別に仕立て、風の音をイメージさせる軽やかなスカートにと転化。すそがなびく様は、その柔らな余韻を伝えているかのよう。モノトーンの中に差し色として効かせた淡いブルーは水の音か。

 「一枚の服がお客様に届き、着ていただくことで空間が変わっていくさまは、まさに響です」と荒井沙羅。

 東京コレクションの事務局によると、今回はそれまでを上回る200人超の海外プレスが登録している。これらのショーでは、身を乗り出して素材などを確かめようとする姿が目立った。

 この日はこのほか、ベテランのユキ・トリイ、初参加のジャズカッツなど全10ブランドが作品を発表した。

 (アサヒ・コム編集部 柏木友紀 写真は大原広和氏)

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写真:ソマルタ(SOMARTA):ソマルタ(SOMARTA)

2009年10月22日12時44分

ソマルタ(SOMARTA)

アグリ・サギモリ(AGURI SAGIMORI)

GVGV

 汽笛の響くなか、夕暮れの田園風景を行く旅人――。東京コレクション2日目の20日は、7ブランドが新作を発表した。特徴的だったのは、テーマ性の強いショーが相次いだこと。

 ランウェーを駅に見立てて始まったソマルタのショー。まだほの暗いホームを行くのは、落ち感あるジャケットとハープパンツというベージュやカーキの組み合わせだ。花飾りの帽子に、手には旅行カバン。デカダンス漂う生演奏の歌声にまとわりつくように、シルクシフォンを重ねたプリーツスカートが揺れる。

 駅を出た汽車は田園風景の中へ。森や橋、邸宅などを描いた薄いブルーやピンクのロマンチックプリントが目を引く。カーディガンにもジャケットのポケットにも花々が咲き乱れる。やがて背景は夕焼けに染まり、強いピンクや赤紫の花を無数にあしらったドレスでエンディング。汽車は汽笛と共に去りぬ。

 フランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの「汽車の窓から」をヒントにしたというデザイナーの廣川玉枝。「1人ひっそり出発したが、空想の世界で幸せだった頃を思い出し、美しい夕暮れを迎える『心の旅』を表現した」

 アグリ・サギモリがイメージソースに選んだのはアンティークのドア。ひび割れたり、色がかすれたりした風情を、オパール加工やジャガードで表現した。ドアチェーンや鍵をトレンチコートにあしらい、水しぶきが跳ねる様子は、特殊加工で合皮のコートに再現させた。黒一色の床を一筋に走るクリスタルの裂け目に沿い、モデルが歩く。

 「ドアに刻まれた時間、物が時間をかけて朽ちていくさまは美しい。変わらず残るものを表現したい」。鷺森アグリは語る。

 「シアタープロダクツ」は、インドのボンベイをモチーフにしたリゾート感あふれるピースを並べた。サマーツイードのジャケットやエプロンドレスはテーピングの縁取りで甘さを強調。肩を大きく取り、ひじから下はすぼまったトップスなどがエスニック感を醸す。「ボンベイ・サファイア」のボトルを抱えた演出もあり、楽しませた。

 このほか、ユキコ・ハナイ、GVGVなど7ブランドが新作を披露した。(アサヒ・コム編集部 柏木友紀)

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2009年10月21日                                        教える人・浜田ひろみ

肉豆腐 撮影・大山克巳

 パパッと手早く出来て、家族みんなが喜ぶ――。うれしいおかずが「肉豆腐」です。「味が決まらない」「水っぽい」という悩みとさよならする方法を、料理研究家の浜田ひろみさんに教わります。すき焼きに負けない満足感を味わってください。

 料理を始めたら5分で仕上げます。大事なのは、その前の材料選びと段取り。「途中で慌てないよう、手順を頭に入れ、コンロの周囲に使うものをそろえて」と浜田さん。

 牛肉は、上等の切り落としを用意しました。冷蔵庫から出してすぐ使わないで、室温で脂肪が軟らかくなり、肉のつやが出るまで置いておきます。赤身肉ならお店で牛脂を少し分けてもらい、初めに炒(いた)めて脂を出してから肉を入れるとひと味アップします。

 「水っぽさ」の原因は、豆腐かもしれません。煮くずれしない硬めの木綿豆腐を選び、水切りすれば、味がよく入り、水っぽさも防げます。

 キノコは歯ごたえのエリンギ、風味のマイタケなど2、3種を混ぜると味わいが深まります。寒さに向かって甘みの増してくる長ネギは、青い部分まで使い切ります。

 味つけの調味料は、砂糖1・酒1・しょうゆ1の割合。浜田さんは樹脂加工の炒め鍋を使います。焦げつかず、口の広い形なので、焼く、煮る、煮詰めるという一連の流れが失敗なくこなせます。

 肉は初めにさっと炒めて味つけしたら取り出す。豆腐を焼き付け、キノコとネギを加えたらもう混ぜません。牛肉を鍋に戻すとき豆腐や野菜の上に広げるのは、肉に火が通りすぎるのを防ぐ工夫です。さらさらの煮汁につやがでてとろみがつき、よい香りがしたら完成の合図です。好みで七味唐辛子をふって。

◇栄養ワンポイント

 牛肉に鉄分、豆腐でカルシウム、キノコの食物繊維と一品で栄養面も充実している。キノコたっぷりでボリュームの割にカロリー控えめ。ダイエット中なら、切り落としを赤身肉にかえればさらにヘルシーに。

 献立例=かきたま汁、春菊と白菜の辛子あえ、サツマイモの茶きんしぼり、ご飯(管理栄養士・宗像伸子)

レシピ

1人前310キロカロリー、塩分1.4グラム

【材料】(2人前)

 木綿豆腐2分の1丁(180グラム)、牛肉切り落とし150グラム、エリンギ50グラム、マイタケ50グラム、長ネギ1本(100グラム)、三温糖または砂糖、酒、しょうゆ各大さじ1、水4分の1カップ、七味唐辛子少々

(1)エリンギは長さを半分にして縦に厚さ5ミリに切る。マイタケはひと口大にほぐす。長ネギは斜め切りにする。豆腐はキッチンペーパーにのせ、水切りをして、ひと口大のやっこに切る。

(2)樹脂加工の炒め鍋を強めの中火にかけて、牛肉を入れて手早くほぐし炒める。焼き色がついてきたら砂糖を振り、酒を回しかける。全体をひと混ぜし、肉の赤みが残る程度で取り出す。

(3)続いて炒め鍋に豆腐を並べる。肉から出た焼き汁をからめるように両面を焼き付け、しょうゆを回しかける。

(4)エリンギ、マイタケ、長ネギを入れて水を加えて煮立てる。牛肉を広げてのせ、煮汁をかけながら2、3分煮詰める。汁が少し残るくらいに仕上げる。中身を崩さないように、鍋ごと一気に滑らせて器に移し、はしでととのえる。七味唐辛子を添える。

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