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パキスタン国営テレビは3日、ムシャラフ大統領が陸軍参謀長として非常事態を宣言し、憲法を停止したと報じた。ムシャラフ氏は参謀長を兼ねたまま10月の大統領選に立候補し、圧勝。ただ、その立候補資格をめぐって最高裁が審理中で、週明けにもムシャラフ氏に不利な判決を出す可能性があった。今回の動きは、判決を封じて11月15日に迫っている任期の暫定的な延長を狙った可能性が高い。

 国内には事実上の戒厳令が敷かれている。ロイター通信によると、南部カラチでは銃声が聞かれたという。国営テレビは非常事態宣言の理由などには触れなかった。3日深夜、ムシャラフ氏自身が国民向けに演説する予定だ。

 一方、民放テレビによると、チョードリ最高裁長官は非常事態宣言を「違法」とし、すべての公務員と軍人に対して宣言に従わないよう命令したと伝えた。最高裁庁舎は治安部隊が包囲。国営テレビによれば、政府は新しい最高裁長官を任命したという。チョードリ長官はムシャラフ氏の軍職兼務に批判的とされ、3月に同氏から停職処分を受けたが、7月に復職を果たしていた。

 一方、ムシャラフ氏と総選挙後の政権運営に協力することで基本的に合意しているブット元首相は、1日にいったんアラブ首長国連邦のドバイに戻っていた。民放テレビによると同氏は急きょ、帰国するため航空機に乗り込んだという。

 大統領選以降も、イスラム勢力タリバーンの関与が疑われる自爆テロ事件や、軍や治安部隊を狙った攻撃が各地で頻発。10月18日のブット氏の帰国時にカラチで130人以上が犠牲になる自爆テロ事件が起きたほか、10月末にはイスラマバード近郊の大統領執務室近くで自爆テロも発生。治安状況が緊迫していた。
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