2009年9月30日 教える人・土井信子
刺し身の盛り合わせ 撮影・大山克巳
切って、お皿に盛る。シンプルで華やかで、みんながうれしいお刺し身。「大阪ではお造りと言われます。切り方と盛り方ひとつでごちそう感がグンと出ます」と家庭料理研究家の土井信子さん。
よく切れる包丁とふきんを用意し、まめにふいて使います。まな板はゆるく絞ったぬれぶきんでふいて使うと、生臭みが残りにくくなります。
タイを平作りに。作業しやすいよう、まな板の下の端をタイの身の幅ぐらいあけて横長に置きます。身を軽く押さえ、右端から切り始めます。包丁を立てぎみにし、刃元のほうから入れ、すっと手前に引きます。包丁の重みで刃先まで引く感覚で、引きづくりともいいます。「包丁をゴシゴシ押すと、切り口がギザギザになります。私は昔、コンニャクで練習しました」
タイのように身のしまった白身魚はそぎ切りでも。包丁を斜めに寝かせ、左端から薄くそいでいきます。
さくになったマグロも平作り向きですが、「変化をつけてかっこよく盛りたいから」と角作りにしました。コロコロッとなるように2、3センチ角に切ります。イカはのりを巻きこみ鳴門巻きにしましたが、弾力があるので細づくりもいいですね。包丁の先端を使い、端から厚みをそろえ、細く切ります。
「数種類盛りあわせるといいわね。日本料理の約束通り皿に盛るときは切り身の数は奇数になるように」。奥にミョウガのけんをこんもりさせ、手前に刺し身をもたせかけるようにします。キュウリを彩りよく添え、ワサビは真ん中から右のほうへ。「皿に絵を描くように。けんの山にお刺し身の川というふうに、高く低く立体的に。日本料理は目でも楽しむものですから」
◇栄養ワンポイント
食欲がないときも刺し身なら食べやすい。とくにお年寄りは低栄養になりがちなので、手間いらずの一品として食卓にのせたい。これで一日に必要なたんぱく質のほぼ半分がとれる。
献立例=茶わん蒸し、揚げナスとカボチャの煮物、レンコンとブドウのショウガ酢あえ、ごはん(管理栄養士・宗像伸子)
レシピ
1人前176キロカロリー、塩分2.1グラム
【材料】(4人前)
タイ(三枚におろして皮をのぞいた刺し身用)240グラム、マグロ(赤身、刺し身用のさく)160グラム、イカの胴1杯分、のり1枚、キュウリ1本、ミョウガ1個、青ジソ4枚、ワサビ適宜、しょうゆ適宜
(1)キュウリは小口から薄く切って氷水にさらし、反り返ったら、ふきんで水気をとる。ミョウガは縦に千切りにする。
(2)タイは右端から幅6ミリほどの平作りにする。刃元のほうから包丁を入れ、一気に引きながら切る。切り離した身は包丁ごとまな板をこするように右へ送り、少し離れたところにたてかけるように並べていく。
(3)マグロのさくは3センチほどの棒状に切り、右から幅2センチぐらいに切ってさらに角作りにする。
(4)イカの鳴門巻きをつくる。イカは皮をむき、厚みの半分まで縦に細かく切り目を入れる。裏返して包丁目を入れたほうを下にして置き、のりをのせ、手前からくるくる巻く。巻き終わったら、端から8ミリ幅ほどに切る。
(5)皿の向こうに青ジソをしき、ミョウガを山のようにこんもり盛る。手前にタイを並べ、マグロをバランスよく積む。キュウリをあしらい、イカの鳴門巻きは断面が上になるように重ねる。ワサビを添え、しょうゆでいただく。
プロフィール
- 高城順子(たかぎじゅんこ)
- 料理研究家。大阪府生まれ。和・洋・中の専門家に師事した後、料理教室の講師を経てフリー。雑誌、テレビの料理番組などで活躍。
プロフィール
- 根岸規雄(ねぎしのりお)
- ホテルオークラ東京総料理長。埼玉県生まれ。61年同ホテルに入社、フランス料理に取り組み、01年に総料理長に就任。
プロフィール
- 浜田ひろみ(はまだひろみ)
- 料理研究家。岡山県生まれ。大手家電メーカーに勤務後、独立。クッキングスタジオを主宰し、料理指導のほか食品CM制作にも参加。
プロフィール
- 土井信子(どいのぶこ)
- 家庭料理研究家。大阪府生まれ。故土井勝氏と結婚、料理学校を開設。夫の死後閉鎖し、現在は高齢者向け教室などで教える。
プロフィール
- 宗像伸子(むなかたのぶこ)
- 管理栄養士。東京都生まれ。病院の栄養部勤務の後、独立。病院や企業の栄養コンサルタントのほか、テレビや雑誌で健康を維持する食事を解説。
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