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2008年01月18日

 最近は、蒸し器のない家庭が多いようです。職員何人かに聞いてみましたが、蒸し器を持ってなかったり、台所の棚の奥にしまい込んでいて、電子レンジや、深めの鍋に落とし蓋をして代用したりしていることが多いようです。実際、我が家でも蒸し物は、寒くならないとしない料理で、茶碗蒸しくらいしか食卓に上りません。夏場でも、冷たい卵豆腐は大変おいしいものですが、熱い台所で、蒸し器を使って卵豆腐を作るなんてことは苦行に等しく、家内はスーパーで買ってきたパック入りの卵豆腐を重宝しています。



学校ではこんな蒸し器を使っています。業務用なので家庭のものより大きいです。


蒸し器の下の段にはこれくらいの湯を入れて、しっかり沸騰させます。蒸し物で火加減を調節するということは、蒸気の量を調節することです。


卵豆腐など、表面を美しく仕上げたい料理を蓋のない器に入れて蒸す時は、このように蓋に乾いた布巾をかませて水滴が落ちるのを防ぎます。


蒸し器の中身が気になっても、蓋を開ける時は必ず向こう側を先に開けて蒸気を逃がしてください。手前から開けると蒸気が直接顔にあたって大変です。



茶碗蒸し レシピはこちらから

 蒸し物料理は、蒸気による加熱で火を通す料理法なので、材料にむらなく均一に火が通り、表面が乾燥しないので全体がやわらかく仕上がり、焦げたり、煮崩れたりする心配がないし、材料の旨味や栄養分が流出しにくいといった利点があります。しかしその反面、ちゃんとした下準備をしておかないと、調理の途中でアクを抜いたり、調味料を加えて味を調節したりすることができないので、注意が必要です。


 蒸し器を使って調理する時の大きなポイントは火加減です。このポイントさえ覚えておけば、蒸し物の火加減はバッチリです。

 蒸し物には、芋やもち米のようなかたい材料を蒸すことで、蒸し芋やおこわのようにやわらかく仕上げる料理と、卵の入っただし汁のようなやわらかい材料を蒸すことで、液体をかため、茶碗蒸しや卵豆腐のようにプルンとなめらかな舌触りのかたまりにするというように、ふたつのパターンがあります。

 かたい材料をやわらかく仕上げる時は、強火で蒸し上げます。また、茶碗蒸しや卵豆腐のように液体をかためるような場合は、強火で表面だけかためたら、後は弱火で蒸します。ただ、表面だけかためるといっても、慣れるまでは分りにくいかもしれません。目安としては、蒸し器の中に蒸気がしっかりたまるまでは強火にし、蒸し器から蒸気が上がってきたら弱火にするとちょうどよいでしょう。

 蒸し器は蒸し物料理だけに使うわけではありません。料理屋では、一辺が60cmもある四角い蒸し器の底の段に湯を沸かしています。手のあいた時、器に煮物を盛り付け、ひとつの宴席ごとに分けておき、煮物の前の料理が提供される時、蒸し器にかけて温めるというような使い方をすることがあります。

 また、「蛸のやわらか煮」のようにグツグツ煮込むと皮がはげて見栄えが悪くなるような料理は、ぬめりを十分取り除いた蛸を鍋に入れ、やわらかく煮るためにサイダーなどを加えて作った煮汁を、味を調えて加え、鍋の表面をラップで二重に覆って、十分に蒸気の上がった蒸し器に入れて2~3時間蒸す「蒸し煮」という方法をとることもあります。「蒸し煮」にすると、煮汁が沸騰することがないので、材料が鍋の中で上下して形が崩れることがなく、じっくりと味が浸透していきます。また、サイダーは含まれた炭酸成分で材料をやわらかくする働きがあります。こうして煮上げると箸でもちぎれる「蛸のやわらか煮」ができ上がります。

 蒸し器は日本料理では重宝する道具です。家庭では場所や大きさの問題もあるでしょうが、少し余裕のある休日などには、ぜひ、若林先生のレシピを参考に、茶碗蒸しを作ってみてください。なめらかでおいしい茶碗蒸しができますよ。
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