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2008年01月25日

 ニューオーリンズといえばジャズ。ジャズミュージシャンといえばニューオーリンズ生まれのルイ・アームストロングを思い浮かべますね。フランス統治時代の面影を残す石畳の町、フレンチ・クォーターでは夕暮れともなると町のあちこちからジャズが聞こえてきます。



ニューオーリンズの町並み


フレンチ・クォーター


リーさんと筆者


卓上のタバスコなどのホットソースやピクルスで好みに調味して食べる。


カキフライのポボーイのレシピはこちら

 さて今回はジャズの話ではなく、ニューオーリンズの食の風物についてちょっと語りましょう。ニューオーリンズ(New Orleans) はフランス語ではヌーヴェル・オルレアン(Nouvelle-Orlans)といい、「新しいオルレアン」の意味です。アメリカ合衆国ルイジアナ州南部に位置し、かつて長くフランス領ルイジアナの首府であったことから独自の文化を伝えていて、市内のフレンチ・クォーターと呼ばれる一角には今なおフランス植民地時代の雰囲気が残っています。この都市の人種的な構成は白人が約28%、アフリカン・アメリカンが約65%、残りがその他の人々です(貧困層が比較的多く、職にありつけずに真っ昼間から街角で座り込んでいる人もよく見受けられます)。地理的には湿地帯が大きく広がり、ミシシッピ川からはキャットフィッシュ(なまず)やクローフィッシュ(アメリカザリガニ)、アリゲーター(ミシシッピワニ)など、とてもユニークな食材が手に入ります。また湿度や気温が高いため、料理はとてもスパイシーでホットな味付けのものが目立ちます。卓上調味料としてもケチャップだけではなく、タバスコや酢漬けにした小粒の唐辛子などが置かれ、各自で好みの辛さに調整して食事をしている姿をよく見かけます。 

 ニューオーリンズで、お気に入りのレストランの一つにドゥキー・チェイス(Dooky Chase)があります。クレオール料理(※1)を代表するレストランで、シェフであるリーLeahおばあちゃんが親族と共に経営されています。サザン・ホスピタリティ(Southern Hospitality=南部の手厚いおもてなし)を実践されているレストランで、何を食べてもすべて美味しいのですが、「おふくろの味」とでも言いたいような親しみのあるものです。それまで接触の無かった外国人の私にですら、長年食べ続けてきたような安心感を与えてくれます。ソウル・フード(※2)を含め、スパイスと素材の組み合わせが絶妙なまでに完成されています。特にこの土地で有名なガンボやジャンバラヤ(※3)といった料理はまさしく絶品で、何杯もおかわりしたくなるほどのできばえでした。  

 今回はその中の一つ。フランスパンを使った温かいサンドイッチ、ポ・ボーイpo’boyを紹介しましょう。このサンドイッチは、19世紀、ニューオーリンズの男達が、フレンチ・クオーターの酒場で一夜を過ごした朝、「仲直りのしるし」として妻達に持ち帰ったもの。ニューオーリンズではpo’boy = poor boy と呼び、アメリカの他の地域では同様のサンドイッチに、ヒーロー(a hero) とかグラインダー(a grinder) 、あるいはサブマリン(a submarine) などさまざまな呼び名があります。中身はチーズやハムなど何でもよく合いますが、ここでは「海のミルク」と呼ばれている牡蠣(カキ)をフライにしてサンドしています。以前に紹介しましたクラム・チャウダー、またはチリ・ビーン・スープなどと一緒に召し上がれば、身も心も豊かに和むことでしょう。 

(※1)クレオール料理…ニューオーリンズを中心とするルイジアナ州で発展した料理のジャンル。

(※2)ソウル・フード(Soul Food)…特にアメリカ南部の黒人の伝統的な料理。豚などの内臓をよく用いる。 

(※3) ガンボ(Gumbo):ブラウンルーを使ったシチューのような煮込み料理。ジャンバラヤ(Jambalaya):土地の産物を使ったパエリアに似た炊き込みご飯。
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