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2009年7月18日                                                            ライター・岸隆子

写真(C)宝塚歌劇団

写真(C)宝塚歌劇団

写真コインブラ物語に出演する轟悠(中央)、涼紫央(右)、蒼乃夕妃(左)=撮影・岸隆子

写真コインブラ物語について語る監修・演出の酒井澄夫=撮影・岸隆子

 ポルトガルで今も語り継がれる王子と侍女の恋物語を、宝塚歌劇団がミュージカル・プレイ「コインブラ物語」として上演することになり、大阪のホテル阪急インターナショナルで主要キャストが参加した合同記者会見が開かれた。主演の専科・轟悠(とどろき・ゆう)は、「ポルトガルでは誰もが知っているお話と聞いていますが今回、宝塚的にどのようにアレンジされるか私も楽しみで仕方ありません」と話した。

 舞台はポルトガルの古い都「コインブラ」。ポルトガルでは「ペドロとイネスの物語」として知られている史実が元になっている。14世紀中ごろ、政略結婚に不満を持っていた王子「ペドロ」が妻の侍女の「イネス」と恋に落ちるが、父王と重臣たちによってイネスは殺されてしまう。父王の死後、王になったペドロは、イネスに手をかけた重臣たちを残酷な手段で粛清し、イネスの遺骸を豪華な棺に入れて運び、遺骸を王座に座らせて王冠を頭に乗せたと伝えられている。

 周囲の反対にもかかわらず愛を貫いた物語とはいえ、残酷な場面が多いこの話。宝塚歌劇ではどうアレンジするのか。

 この日の発表によると、史実にはとらわれず、「王子と侍女」「姫と近衛隊長」と2つの愛がからみあう形になって物語が進んでいく。また、時代設定を大航海時代が始まった15世紀ごろに移し、新しい時代を切り開いていく愛の物語となる模様だ。

 宝塚版の「ペドロとイネスの物語」は、作・小林公平(宝塚音楽学校長)。監修・演出が酒井澄夫。小林は数年前、旅行でコインブラを訪れて初めてペドロとイネスの事を知り、なんとか宝塚でミュージカル化出来ないかと熱望。数年間かけて構想を練り、酒井が演出することになった。酒井は「小林校長先生の意向もあり、あまり残酷なシーンを入れず、愛の物語がテーマになりました。ポルトガルというゆったりした南国でやさしく育てられた伝説の雰囲気を出していけたら、と思っています」と話した。

 主役のペドロを演じる轟悠は、この公演を前に実際にポルトガルを訪れ、舞台となる古都・コインブラまで汽車に乗って行った。轟は「ポルトガルは、おおらかで、南国情緒あふれる国でした」という。絵を描くのが趣味の轟は「私の絵は結構細かくて(笑)、きっちり定規で描く日本人らしい性格なんですが、向こうの方は自分の立場があるからといって愛や恋をあきらめないし、寛容というか大きな受けとめ方があります。そういうポルトガルの人のおおらかさや、純粋なパワーを舞台で表現したい」と言う。

 王子と政略結婚させられる姫の恋人、近衛隊長・ビメンタを演じるのは星組の涼紫央(すずみ・しお)。涼は、ビメンタ役について「宝塚に入る前のファンの時から、宝塚の時代ものは大好きだったので、すごく幸せでもあり、すごく緊張しています。轟さんとは『長崎しぐれ坂』でご一緒させていただきましたが、星組一丸となって轟さんについて行きたいと思います」と話した。

 轟の相手役の侍女・イネスを演じるのは星組の蒼乃夕妃(あおの・ゆき)。蒼乃は「実在した人物を演じるのは初めてで、挑戦だと思っています。これまで大きなコスチュームはあまり着たことがなくて、時代ものでも酒場の場面だったり甲冑を着ていたりなので、金髪でパールのアクセサリーで清楚な感じというのに、ちょっとワクワクしています」と話した。

◆宝塚ミュージカル・プレイ「コインブラ物語」

出演:轟悠/涼紫央、蒼乃夕妃/ほか
作:小林公一
監修・演出:酒井澄夫
〈梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ〉
2009年10月13日(火)~10月25日(日)
詳しくは宝塚歌劇公演案内へ

〈日本青年館大ホール〉
2009年10月30日(金)~11月5日(木)
詳しくは宝塚歌劇公演案内へ

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