✿藍玫瑰❤紅薔薇✿

　関西人はみんな串揚げ好きだと思っている友人。いつも二日酔いで寝不足気味、串揚げが大好きだという彼が大阪生まれの記者に教えてくれた店を紹介。（アサヒ・コム編集部）

　昭和通りから少し外れた場所にあるビルの地下１階に店はある。人目を引くような目立つ看板も無く、何も知らなければそのまま通り過ぎてしまいそうだ。

　店に入ると、落ち着いた内装やゆったりとしたテーブルの配置に驚く。粋な小料理屋を思わせる雰囲気だ。関西育ちの私がイメージする串揚げ（私は串カツと言っている）とは、おっちゃんたちが立ったまま、体を斜めに傾け少しでも多くの人が食べることができるように肩を寄せ合っている姿、そして響く「２度づけ禁止」の声（最近はあまり聞かれなくなったが）。

　案内され、席に座ると、ほどなく店員がお茶とおしぼりを持ってきた。メニューは１０００円のランチのみで「串は７本です」と、ランチメニューの内容の説明。テキパキとした対応ともあいまって、大阪の串カツを食べ慣れた私などは「えらい丁寧やなあ」と、妙なところで感心してしまった。

　串揚げの前に「前菜」と「生野菜」が出てきた。前菜は「タコのマリネ」。月によって内容が変わるという。盛りつけにも気を配っているのだろう、見た目がきれいだとおいしさも増すようだ。「生野菜」は「キャベツ」「キュウリ」「ダイコン」「ニンジン」と、彩りも鮮やか。野菜不足になりがちなランチで新鮮な生野菜が食べることができるのは、とてもありがたい。

　串揚げは最初に「エビのシソ巻き」「豚ロース」、次に「じゃがバター」「タチウオ　タルタルソース」「コンニャク甘辛煮」、最後に「ホタテ」「ズッキーニ」の順で出てきた。日によって内容は若干変わるという。素材の持ち味をそのまま出すもの、工夫をこらしてうまみを引き出しているものと、いろいろな味が楽しめた。つけ皿には「自家製味噌だれ」「塩」「ソース」の３種が用意されており、素材や好みで食べ分けることができるのもうれしい。

　オーナーの田代弘毅さんは、もともと串揚げが大好き。サラリーマン時代にある店で食べた串揚げがあまりにおいしく、それが脱サラをして店を立ち上げるきっかけのひとつになったという。おちついた場所で隠れ家的で、ゆっくり飲んで食べる店にしたいと語る田代さんは、いつも串揚げのアイデアを考えている。

　串７本に前菜、新鮮な生野菜がついて１０００円はとてもお値打ちだ。「あとはビール…」友人と共通の思いをいだきながら、店をあとにした。