close
スパゲッティ、トマト、オリーブ、魚介類といったイメージが強いイタリア料理。ここでご紹介するのは、そんな普通のイタリアではありません。切り口はズバリ「粉もの」! スパゲッティだけじゃない数々のパスタ、さらにピッツァ、パンにお菓子……と、粉もの料理は数知れず。ご案内役は、本校イタリア料理主任教授・永作達宗。日本で粉もの文化といえば大阪!の出身です。「パスタはイタリアのうどんで、ピッツァはお好み焼きや!」というわけではありませんが、ゆかいな仲間たちと一緒に、イタリアの粉もの王国の一面をどうぞお楽しみください。
 

2009年8月7日                                     情報提供=辻調おいしいネット

写真軟質小麦と挽いた粉

写真デュラム小麦と挽いた粉

写真ダイス

写真乾燥前のできたてのスパゲッティ

写真スパゲッティ・カーチョ・エ・ぺーぺのレシピはこちらから

 こんにちは、小竹龍児です。イタリア滞在中にパスタ工場に行く機会があり、スパゲティやペンネなど、市販の乾燥パスタの製造工程を見学することができました。普段何げなく使っているこれらのパスタですが、意外な発見がたくさんあったのでご紹介します。

 さて、突然ですが、乾燥パスタの原料は何でしょう? 小麦粉から作られるということを知っている方も多いと思いますが、皆さんが知っている小麦粉は真っ白なはず。なのに売られている乾燥パスタはどうしてあんなに黄色っぽいのか?

 イタリアのパスタは大きく分けて市販の乾燥パスタと、レストランで(イタリアなら家庭でも)作られる手打ちパスタの二つがあります。手打ちパスタの方は、皆さんおなじみの真っ白な小麦粉に卵を加えて作ることが多いので、当然黄色っぽく仕上がります。だから何となくパスタというのはあんな色をしているものだと思ってました。でも乾燥パスタの材料は小麦粉と水だけです。手打ちパスタにはよく入れる塩も使いません。ではどうして? 答えは「原料の小麦が違うから」です。

 見学に行ってきたのは、イタリアでも日本でも名前を知られているA社。乾燥パスタはナポリを中心とした南イタリアで発達してきたものなので、工場も南イタリアにあることが多いように思うのですが、この会社は北の方にあります。

 話を原料の小麦に戻しましょう。乾燥パスタに使われるのはデュラム小麦と呼ばれ、皆さんがよくご存じの薄力粉や強力粉などの真っ白な小麦粉の原料(軟質小麦や硬質小麦)とは別の種類の小麦になります。デュラム小麦の粒は外皮を取り除くと黄色っぽく、乾燥パスタの色はこの色に由来するというわけです。写真でもデュラム小麦を挽(ひ)いたものと軟質小麦を挽いたものではずいぶんと色が違うのがわかります。

 さて、乾燥パスタの製造は、まず数種の小麦を粒のままブレンドし、それを挽いて粉にすることから始まります。ひいてから時間がたった粉で作るとおいしいパスタができないため、この会社では工場の横に製粉所を持っているほどです。この製粉の工程は現在では機械で行われていますが、昔は大きな石臼のようなものを使っていたそうです。

 次に挽いた小麦粉と水を機械で15分ほど練り合わせます。水の量はおよそ粉の30%。この水分量では生地はとんでもなくかたいため、とても手で練ることはできません。

 この練り上がった生地をダイス(口金)をつけた太いパイプから5気圧もの圧力(ちなみに車のタイヤで2気圧程度)をかけて押し出すと……カットしていない状態の長いままのスパゲティが出てきます。ダイスにはパスタの形状によっていろいろなタイプがあり、テフロン加工のものが主流。昔はブロンズ製でしたが、摩耗しやすく、すぐに交換しなければならなかったようです。

 そしてこの押し出された長い状態のパスタを乾燥させ、カットして袋詰めにしたものが、皆さんがよく見ている市販の乾燥パスタというわけです。乾燥時間や温度は会社によって違いますが、A社では78℃でスパゲティなどのロングパスタは11~18時間、ペンネなどのショートパスタはカットしてから8時間乾燥させています。

 これらのパスタを使った料理のバリエーションはまさに無限にあるといえます。日本ではペペロンチーノと呼ばれているシンプルな「にんにくと赤唐辛子のパスタ」が有名ですが、今回はそれに負けないくらい簡単でおいしいパスタを紹介します。

 イタリアではパスタはアル・デンテといって歯ごたえのある状態に仕上げるのが絶対条件。アル・デンテじゃなかったら作り直せと突き返されることもあります。

 “恋とパスタはタイミング”皆さんもぜひチャレンジしてみて下さい。

arrow
arrow
    全站熱搜

    rjivoe 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()