2009年8月28日 筆者 大矢アキオ
会場はツェール・アム・ゼーの飛行場跡地
パレードのスタートを今か今かと待つ参加車たち
主催者から支給された黄色いフラッグが参加車の目印
スタッフは陽気、かつほとんどが数カ国語を話す
近郊を約4キロパレード。沿道住民の注目を浴びた
■100万台が世界中に
早いもので、初代スマートfor twoが発売されてから11年がたった。メーカーのダイムラーが昨年発表したところによれば、すでに100万台以上のスマートが世界中を走り回っているという。普及国トップ3は、イタリア、ドイツ、米国で、全販売台数の3分の2を占める。
イタリアは都市での熾烈な駐車場事情からそのコンパクトさが買われたものだ。ドイツはいうまでもなくダイムラーのお膝元、米国はここのところのスモールカー・ブームで、というのがヒットの理由であろう。また、南アフリカ、台湾、香港、メキシコ、オーストラリア、マレーシア、カナダなどでも販売されている。
■スマート・ファン大集合
8月21日(金)から23日(日)まで、オーストリアで「スマート・タイムズ」と題したオーナーズ・ミーティングが開かれることを知った。場所はモーツァルトの生誕地ザルツブルクの南76キロにあるツェール・アム・ゼーだ。人口こそ1万人弱だが、湖畔の優雅なリゾート地である。厳密には、その郊外・カプルンという町にある飛行場跡地が会場だ。
金曜日の夕方、イタリアから700キロの道のりを走ってきたボクはアウトバーンを降り、ツェール・アム・ゼーに至る山道をたどった。
途中、いっこうにスマートを見かけない。だんだん不安になってきた。ところが、その湖畔の小さな高級保養地に入った途端、町のあちこちにfor two、ロードスターといったモデルがいて、大胆なカラーリングを施したモデルや改造車も溢れているではないか。
参加者たちの多くは、プログラムを少しでも多く楽しもうと、1日目の早いうちから押しかけていたのである。さながら、フライドチキンの骨と骨の間の肉も丹念に味わうような、こういう人たちがボクは好きである。町からして、もうムードが“できあがって”しまっている。
ところで、この催しの始まりは2000年に開かれた小さなファン・イベントまでさかのぼる。ツェール・アム・ゼーに舞台を移してからは、これで3年目だ。
昨年まではメルセデス・ベンツ・オーストリアの主催だったが、今年からはドイツ・ダイムラー本社直々の主催となった。
スマート・オーナーなら参加費は無料、という太っ腹企画である。743台のスマートが参加してギネスブックにも公認された昨年に続き、2年目の今年は6百数十台のスマートがヨーロッパ各国から集結した。
■目指せ、スマート爺さん
それにしても、集まったオーナーたちの若さよ。とかくヨーロッパで自動車のオーナーズイベントというと、メーカーの歴史を知り尽くしたような重鎮のおじさんがいて…というイメージがある。
しかし、この「スマート・タイムズ」は違った。なにやら、高原のポップス・コンサートか? と勘違いしてしまう。
調べてみると、それを裏付けるようなデータがメーカーから発表されていた。スマート・ユーザーの実に45%が45歳以下だという。これは画期的な若さといえる。イタリアの著名自動車誌「クアトロルオーテ」誌が昨年行った調査ではもっと若返る。スマート・ユーザーの平均年齢は35歳で、BMWミニの33.6歳に次ぐ若さだ。
さらに自動車イベントには珍しく、女性同士の参加も数多くみられた。とくにイタリアからの越境女子組もいたところは、スタイル・運転操作とも女性から親しまれやすいスマートの面目躍如といったところだ。
なお今のボクは、メーカーが発表するスマート・ユーザー層の範囲内にかろうじて留まっているが、残念なことにスマートを持っていない。こういう楽しいイベントに立ち会うと、人のクルマを借りてでもスマートでやってくれぱ良かった、と後悔する。
ついでにいうと、集まったミドルエイジ以上のオーナーも、スマートに乗っていると、どこか若々しく見える。
ここはひとつ「ボクもスマートが似合う爺さんになる」という、より高いレベルを目指すことを心に誓った次第である。