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2008年01月22日

 昨年11月に『ミシュランガイド東京2008』が発売されました。選ばれた150店を見ると、三つ星は8軒、うち5軒は日本料理店です。カテゴリー別には和食、うなぎ、新日本料理、寿司、そば会席、天ぷら、ふぐに分けられていますが、星付きは半数以上! 日本料理への注目度が伝わってきます。



漆器も和食の魅力のひとつ(太古八)


イギリスでデビューする『Koshuキュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー』


山梨県産甲州ぶどうと『シャトー・メルシャン甲州きいろ香』


ヘラルド朝日の読者に甲州ワインをサーブする三澤茂計氏(朝日新聞本社にて)

●世界のワイン市場が受ける影響

 フランスでの寿司人気は相変わらず高いですね。イギリスでも日本食がブームになっていますが、ワイン市場の新しい動きを知る上でもイギリスは重要な存在です。中央葡萄酒工業(株)の三澤茂計社主によると、「ワイン情報の7割はロンドン発」だそうで、例えば、天然コルクの代替栓として登場してきたスクリューキャップ(以後SC)にしても、同国の大手スーパーが積極的に支持してきた経緯があり、世界のワイン市場に与えた影響は大きかったと思います。

●山梨県産甲州ワインが欧州でデビュー!

 先週の金曜日、興味深い放送がありました。NHKの夜7時のニュースで取り上げられていた「甲州ワイン」の話題です。グラスに注がれている白ワインの映像に続いて、アナウンサーが「山梨県産の甲州ワインがイギリスに輸出されることになりました。第1号となるのはこれです」と言ってワインボトルが写し出されていたのですが、それは、10月の歳時記でも紹介したことのある『Koshuキュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー2006』でした。

●Koshuキュヴェ・ドゥニ・デュブルデューは山梨県産ぶどう100%

 前出の三澤茂計氏は、「初ヴィンテージは2004年で山梨県勝沼町菱山地区の甲州ぶどうを、また2005年には同町穂坂地区の甲州ぶどうを原料とし、すべて弊社で醸造、全量がキュヴェ・ドゥニ・デュブルデューになりました。

 2006年には同町穂坂地区の甲州ぶどうとそれ以外のぶどうに分け、穂坂地区の甲州ぶどうからのワインはすべて弊社が醸造、このロットのみがキュヴェ・ドゥニ・デュブルデューになっています。輸出業者はミレジム(株)で、同社が独立行政法人『酒類総合研修所』に登録申請をしていました。今回申請が通り、結果、このワインが欧州進出第1号となりました」とコメントしてくれました。

●独立行政法人『酒類総合研究所』とは

 酒類総合研究所は「日本で唯一のお酒に関する国の研究機関」です。EU公認のワイン分析機関として登録されており、昨年11月からワイン分析の申請を受け付けています。EU圏内にワインを輸出したい時は、まず同研究所に必要書類と750mlのワインを1本送付し、検査を受けることになります。分析検査をクリアさえすればワインを輸出することができますが、従来からの「年間100リットル以内(※)」という数量制限がなくなるので、生産者や輸出業者には新たなワインビジネスを展開する場が広がります。

 分析検査には、ぶどう品種、収穫年度、産地表示、使用割合、水・アルコール添加の有無ほか、フランスのAOCと同様に細かなチェックがあるようですが、キュヴェ・ドゥニ・デュブルデューは、それらを見事クリアした最初のワインということになります。

●欧州で日本ワインと日本料理のマリアージュを

“第1号ワイン”について三澤茂計氏は、「登録されて欧州進出が可能になったことは何より嬉しいことです。100リットルの壁からの開放は、これから先、ワイン業界が結束して、甲州ワインの輸出に向けて新しい時代を迎えるチャンスを呼び込んでくれたと思います」と述べていましたが、EUのハードルを越えたことで、甲州種が世界的に認知されるチャンスは大きいと思います。

 日本古来のぶどう品種「甲州」から造られる甲州ワインが、海外のレストランで日本料理と合わせて楽しんでいただけるようになれば、現在の日本食ブームも本物になったと言えそうです。


※分析検査を受けなくてもワインは輸出できるが、その場合、年間100リットル以内という規制がある。
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