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2009年6月27日                                                                           ライター・さかせがわ猫丸 

写真宝塚大劇場公演『太王四神記ver.2』より=撮影・岸隆子

写真宝塚大劇場公演『太王四神記ver.2』より=撮影・岸隆子

写真宝塚大劇場公演『太王四神記ver.2』より=撮影・岸隆子

写真宝塚大劇場公演『太王四神記ver.2』より=撮影・岸隆子

写真宝塚大劇場公演『太王四神記ver.2』より=撮影・岸隆子

 朝鮮半島を舞台にした物語『太王四神記』。ペ・ヨンジュンさん主演のテレビ番組でも大ヒットしたこの作品を、宝塚歌劇団が初めてミュージカル化。2009年1月から3月にかけて花組が上演しました。26日に初日を迎えた今回の公演は、前回の興奮も冷めやらぬままの星組による再演で、『Ver.2』となって前回よりブラッシュアップされたとのこと。その予告通り、オープニングから前回とは大きく違い、神話の時代をばっさりカット。スクリーンなどを駆使した解説が入り、これはわかりやすい! 物語の主軸にすっと入りこむことができました。

 主人公の王子・タムドク役は花組トップの真飛聖(まとぶ・せい)さんから、星組新トップの柚希礼音(ゆずき・れおん)さんへ。イメージがぐっと変わっています。真飛さんが静なら、柚希さんは動。持ち味のパワフルさを生かすように、熱い熱―いタムドクでした。柚希さんは172センチと長身で、出てきたときから「でかっ!」と圧倒されますし、存在感はさすがです。

 タムドクと友情を誓いながら最後には敵対してしまうホゲ役は、この公演で雪組から移籍してきた凰稀かなめ(おうき・かなめ)さん。ケガの影響で当面の間の休演が案内されていましたが、初日から復帰となりました。花組で大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)さんが演じた哀愁漂うホゲから一転、若さが弾けていてイケメンなルックスも光り輝くようなホゲでした。

 タムドクとホゲが銀橋でかけあいながら歌うシーンは、2人とも長身(凰稀さんは173センチ)なのでなかなかの迫力。それにしてもタムドクとホゲ。こんなに仲が良かったのに、王の座につかせたい周囲の思惑に操られ、敵対する仲となってしまいます。

 「王にはなりたくない。大切な友人にも憎まれてしまった」―苦悩するタムドク。「よくも母上を追い詰めたな。私こそが王になってみせる」―復讐の思いをにじませるがごとく野心の塊となったホゲ。揺れ動く心情も、柚希さんと凰稀さんそれぞれの色でうまく演じています。特に柚希さんは「スカーレット・ピンパーネル」や「My dear New Orleans」で、これまで苦悩する役はたっぷり演じてきているので、おまかせあれでしょうか。

 複雑な過去を背負った女性・キハを演じるのは星組新トップ娘役の夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さん。可憐で初々しさあふれ、長身小顔でフランス人形ばりのスタイルに華やかなチョゴリ風衣装が映えます。演じる人や組によってイメージが変わるのも、再演の面白さですね。柚希さんと夢咲さんの息もぴったりで、タムドクとキハが愛を成就するシーンや、キハがタムドクに別れを告げに来るシーンでは、思わず胸がきゅーんとなりました。柚希さんの包容力というか、男らしさにはうっとりせざるを得ません。もちろん戦うシーンがカッコイイのはいうまでもありませんし、彼女にとってタムドクはなかなかのハマり役かも。

 世界征服をもくろむ長老役は、涼紫央(すずみ・しお)さんが役者魂を発揮して渾身の演技。渋い役者さんですが、これでますます磨きがかかったかもしれません。

 長大なストーリーだけに重要な役がたくさんあり、多くの人がフル活躍しているのも見どころです。タムドクの父ヤン王には一樹千尋(いつき・ちひろ)さん。ホゲの父ヨン・ガリョに磯野千尋(いその・ちひろ)さんと専科のダンディーなお2人が。人のいいフッケ将軍はベテランにしき愛(にしき・あい)さん、色っぽくて意地悪なホゲの母トラジは百花沙里(ももか・さり)さんが演じ、舞台を引き締めます。キハの妹で男勝りなスジニは前回、男役の愛音羽麗(あいね・はれい)さんがキュートで話題を呼びましたが、星組でも男役・美弥るりか(みや・るりか)さんがとてもかわいらしくてハマっていました。

 四神・白虎の守り主チュムチは紅ゆずる(くれない・ゆずる)さん、四神・青龍の守り主チョロは真風涼帆(まかぜ・すずほ)さんと、星組きってのイケメンたちも重要な役どころをおさえています。キハに仕えるどこかせつないサリャンは夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さん、りりしいコ将軍は彩海早矢(あやみ・はや)さんと、見る人が多すぎてオペラグラスを動かすのも忙しいほど!

 ラストシーンでは、あのゴンドラが健在でした。スモークが流れ、空高く舞いあがる結ばれた2人…いかにも宝塚らしいエンディングに満足。ショーでは重そうな鎧を脱いで、柚希さん得意のダイナミックなダンスが炸裂。デュエットダンスまでダイナミックで、なんだか見たことない新しい世界を作り出しているような気になりました。さすがです! 柚希さん。

 いよいよ新生・星組の船出。トップのカラーが組のカラーを左右するといわれていますが、前任者・安蘭さんの色とはまた違った、柚希さん色の新しい星組を作り上げて行くんだなと、期待と予感が押し寄せる公演でした。ずっと「濃い」と言われてきた星組ですが、これからは「熱い」に代わるかも? その頼もしさ、ついていきます!

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