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2009年8月11日                                            筆者 京橋玉次郎

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お姉さんのランチ

 

 どうもちょっとハイカラすぎるところへ来てしまったようだ。席に案内される間に見回したところ6割から7割以上が女性客。それも若い女性が多い。白を基調として1フロアを使いきり、空間に余裕をとった造作やインテリアも都会の女性好みと見受けられる。「おやじの昼めし」というより「おねえさんのランチ」といったところか。

 銀座4丁目の狭い路地裏。一日中日が射すこともなく人一人やっと通れるような渋い路地に数年前「ぴょんぴょん舎百番店」という盛岡冷麺の店ができた。隣の客と肩をぶつけ合うような狭さで、屋台の延長のような雰囲気が結構気に入っていた。そこが昨年4月にグラッセの11階に進出したというので尋ねた次第だが、百番店とは大分印象が違った。

 

これは輪ゴムか

 

 昔、初めて冷麺なるものを食したときは、「この輪ゴムをかむような麺はどうしたことか」と、その食感に戸惑った覚えがある。が、いつの間にか好物の一つになっていた。食べ物でも人でも初めての出会いが少々違和感を持つくらいのほうがかえって親和感を育てる場合がある。たとえばクサヤなども最初は閉口したがいつの間にか好物となっているし、初対面に感じ悪い奴だと思った人間が、いつの間にか気の置けない友人になったりしていることがある。

 で、冷麺。平壌冷麺はそば粉とでんぷんで作られるが、盛岡冷麺は馬鈴薯(ばれいしょ)でんぷんと小麦粉を使用しており一層つるつるで強い腰に出来上がっている。スープは牛骨をベースにあっさり仕上げてあり、専用に漬け込んだキムチとあわせ三位一体で味わってほしい、とは店の説明。

 

基本は焼き肉店

 

 丼の中央にきつく玉にまとめられた麺が島のようにスープから盛り上がっている。スイカを避けて力を込めて手前から崩し、スープに絡めキムチをまぶして食す。硬い歯ごたえ、冷たいスルリとしたのど越しは炎天を歩いてきた身に心地よい。キムチなどもあっさりした味付けで麺の邪魔をしない。

 南側の窓からは首都高速と数寄屋橋交差点が見下ろせる。店は前沢牛など岩手県産牛の焼き肉がメーンとなっており、百番店の路地裏の個性的なイメージを抱いて訪れると少し調子が狂う。都会によくあるこじゃれた店の一つとなっていた。

 

宮本常一氏にならう

 

 岩手県といって咄嗟に思いつくのは「夏草や兵どもが夢の跡」の義経堂と宮沢賢治くらい。冷麺が名物とは知らなかった。もっとも最近は村おこしとやらで、どこそこのタンだ、焼きソバだ、モツだ、と意外な名物がそこここに誕生している。

 民俗学者の宮本常一氏は「名物は土地を知る有力な手がかり、土地に行ったら食べてみよ」、といっている。これは歴史風土に根ざした名物を指しているのだろうが、新参の名物に氏はなんと言うだろうか。テーブル席、半個室席、個室とあり、個室は4人から16人くらいで利用できる。総収容人数は140人。ランチは冷麺のほかに冷麺+ミニピビンパ1100円、冷麺+チヂミセット1250円、焼き肉ランチ1800円などがある。

 

【お店データ】

ぴょんぴょん舎GINZA UNA

中央区銀座3-2-15 11F〈地図〉 03-3535-3020

営業:〔月~土〕午前11時~午後11時45分(LO午後11時) 〔日・祝〕午前11時~午後11時(LO午後10時)

<本日食したランチ>

盛岡冷麺900円+大盛り200円

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