2009年10月9日 情報提供=辻調おいしいネット
元祖マルゲリータのブランディ
誕生100周年の記念プレート「100年前、ピッツァ・マルゲリータはここで生まれた」
ダ・ミケーレ。ブランディと並ぶ人気店! マリナーラとマルゲリータしかおいていない!!
今や日本人の食卓にもすっかり定着しているピッツァ。デリバリーなどではまだまだアメリカン・スタイルのピザが主流ですが、ピッツァといえばやっぱりナポリピッツァ。シンプルなだけに奥が深い本物のピッツァをご紹介します。
八重樫(以下Y):ピッツァ発祥の地は知ってる?
岡田(以下O):イタリアのナポリですよね。それくらい知ってますよ。
Y:じゃあ、いつごろできたと思う?
O:うーん、まったくわからないや。
Y:じゃあ、まずはピッツァの歴史を調べてみよう。
ピッツァの先祖は、生地を平たくのばして焼いたフォカッチャだと考えられている。ナポリにピッツァの原形とも言えるものが誕生したのは1600年代半ば頃。具はラード、バジリコ、チーズで、「マストゥニコーラ」と呼ばれていた。
O:ピッツァなのにトマトを使ってないんですか?
Y:トマトを使わないというより、まだこのころは、食用としてあまり定着していなかったんだ。トマトは南米原産で、1500年代前半にヨーロッパに伝わった後、1世紀以上は観賞用の植物だったからね。
O:もったいない話ですね。トマトがピッツァの具に使われたのはいつからなんですか?
Y:それじゃあ、ピッツァ・アッラ・マリナーラの話をしよう。
1700年代半ば頃、はじめてトマトがピッツァの具となった。ピッツァ・アッラ・マリナーラの誕生である。もともとはトマトとオリーブ油だけのシンプルなものであったが、後ににんにくとオレガノが加わった。マリナーラとは「船乗り」の意味だが、なぜその名前がついているかには諸説あり、「船乗りが船にのせて持って行ける調味料を使っているから」、「船乗りが立ち寄ったパン屋にリクエストし、ありあわせの材料で作らせたから」などといわれている。ピッツァ・アッラ・マリナーラはすべてのナポリピッツァの基本ともいえるであろう。
Y:ピッツァの基本だけあって、素朴だけどいい味出してるよね。
O:確かにおいしいです。でも僕はピッツァ・マルゲリータのほうがやっぱり好きだなあ。
Y:ナポリピッツァで忘れてはならないピッツァ・マルゲリータのことも紹介しよう。
1889年、イタリア国王であったウンベルトI世とマルゲリータ王妃がナポリに滞在した際に、当時ナポリ一と評判だったピッツァ職人「ピエトロ・エ・バスタ・コスィ」(現ブランディ)のラッファエーレ・エスポージトが献上した3種類のピッツァのひとつ。
王妃はこの色鮮やかなピッツァを大変気に入って名前を尋ね、エスポージトはすかさず「ピッツァ・マルゲリータでございます」と答えたといわれている。最初はトマトとモッツァレッラのピッツァを献上するつもりだったところに、エスポージトの妻のアイデアでバジリコをトッピングしたという説もある。
トマトの赤、モッツァレッラの白、バジリコの緑がイタリア国旗の色と同じである上に、シンプルながら味も良いことからピッツァの代表格となった。
O:見た目も、味も、名前の由来まで良いですよね。
Y:「真のナポリピッツァ協会」が認める「真のナポリピッツァ」とはこの「マリナーラ」と「マルゲリータ」の二つだけなんだよ。
O:ええ、そうなんですか? ナポリピッツァ協会は厳しいですね。
Y:でも伝統的なピッツァを後世に残すために、協会はピッツァに使う材料や作り方、焼き方まで、細かな規約を定めているんだ。それを要約すると、「真のナポリピッツァ」と呼ばれるためには、最低でも以下のような条件を守らないとだめなんだよ。
・生地に使用する材料は、小麦粉、酵母、塩、水の四つのみ
・生地は手だけを使って延ばす
・窯の床面にて直焼きする
・窯の燃料は薪もしくは木くずとする
・仕上がりはふっくらとして、「額縁」がある
・上にのせる材料にもこだわる
「真のナポリピッツァ協会 日本支部」HP(http://verapizzanapoletana.jp/)より
O:先生、額縁って何ですか!?
Y:ピッツァの端の部分をコルニチョーネ、つまり「額縁」って呼ぶんだ。あのモチっとした食感の「額縁」は、ナポリピッツァのおいしさでもあり特徴だよね。
O:なるほど! ピッツァの「額縁」、何だかピッタリの名前ですね。
Y:この「額縁」は、めん棒で延ばすと、生地の中のガスが抜けすぎてうまくできないらしいんだ。
O:だから手で延ばすのが決まりなんですね。
Y:他にもいろんな決まりがあって、オリーブ油を混ぜて作るピッツァの生地もあるけれど、ナポリピッツァでは具の上から振りかけることしか認められていないし、使えるチーズも、モッツァレッラ、パルメザン、グラーナ・パダーノ、ペコリーノの4種類!
O:ナポリピッツァはシンプルだけど奥が深いですね。よーし、僕も「真のナポリピッツァ」を作れるように頑張ろう。
Y:じゃあ、まずは窯を作ろう。もちろん薪窯ね。